タグ別アーカイブ: 介護

月刊 老施協 2021年7月号

介護・福祉の強靱化に向けて

全国老施協常任理事・参議院議員 そのだ修光

新型コロナウイルス感染症のまん延は人と人との関わりや人の流れを抑え、経済活動を妨げるばかりか、人口減少や少子高齢化にも拍車をかけかねない重大な政治課題です。

これをいかに抑え、介護現場を守っていくか。この難題に対し、国会の場で、高齢者施設におけるPCR検査の実施、職員応援派遣体制の強化、ワクチンの接種促進の実現等に努めて参りました。

目下ワクチン接種が進みつつありますが、各高齢者施設におかれましては、高齢者、ひいては国民の生命と生活を守るため、引き続きのご対応をお願いいたします。

今回の介護報酬改定をもって全国老施協が提唱した科学的介護の導入が本格化することになります。

介護現場にICT(情報通信技術)機器などの導入を進め、文書業務のデジタル化などで負担を軽減し、介護職がヒューマンケアに集中することで、より質の高い介護サービスを提供できる職場環境をつくることは、ともすれば誤った負のイメージを持たれがちな介護の仕事の新たな姿や魅力、価値を広く世の中に発信し、若者に憧れられるような仕事にしていくことにもつなげられるはずです。

政府が目指す「介護離職ゼロ」を達成するには、介護・福祉を量・質ともに充実させていかなければなりません。

政府の「骨太方針2020」や「成長戦略実行計画」等が出揃い、次年度予算の編成も始まります。

介護が必要となっても最後の瞬間まで自分らしく生きられる社会、「長生きしてよかった!」と心から思える社会を目指し、共に歩んで参りましょう。

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月刊 老施協 2021年6月号

レジリエントな介護現場に向けて

介護現場と制度をつなぐ

皆さん、こんにちは。新型コロナウイルス感染症が我々の社会生活を脅かすなか、ほぼ1年以上にわたり、日々の介護日常業務において細心の予防措置を講じているだけでなく、施設に感染を持ち込まないようプライベートの行動までも制限をし、本当に献身的な努力を続けていただいております。心より敬意と感謝を申し上げます。

 4月上旬頃から始まった新型コロナウイルス感染症第4波は、関西を中心に、高齢者施設に大きな負担をかけることになりました。施設内でのクラスターが相次ぎ、新型コロナウィルスに感染した入居者は原則入院であるにもかかわらず、入院できず、施設内で療養を続けていただかなければならない状況に陥りました。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げます。

 私の役割は、介護現場の皆さんと制度をつなぐことです。5月2日、菅義偉内閣総理大臣と財務省に介護現場の状況を伝え、支援をお願いして参りました。そして、5月6日には、参議院厚生労働委員会の場において、全国老施協に与野党の国会議員に介護現場のリアルな声を伝えてもらいました。厚生労働委員の皆さんに、「介護現場は大変だ。どうにかしなければ」という思いを強めていただく良い機会になったと思います。

 それらの結果、5月21日には、施設内療養時の介護施設側に対する支援策が設けられました。地域医療介護総合確保基金における、いわゆるかかりまし補助金の対象として追加される形となりますが、令和3年4月1日にまでさかのぼって施設内療養者1人1日1万円(上限15万円)が支給されることになりました。その後、「この支援策は有難いが、都道府県の理解が追いついていない」という現場の声をいただき、5月28日には厚労省から都道府県に対し、積極的な実施を促す通知を出してもらいました。

 また、介護施設の入居高齢者、職員の皆さんのワクチン接種状況はいかがでしょうか?菅義偉総理および田村憲久厚生労働大臣に、当協会の平石朗会長ほか介護団体の会長の皆さまからいただいた要望を届け、国の方では、早々に介護施設の職員は入居高齢者と同時接種を可能とするルールを設けておりました。ワクチンの調達が成功し、最近では、在宅系の介護職も自治体の判断でより柔軟に接種していただけるようになっています。

 接種を望まれる一人でも多くの方々にワクチンを接種していただくことが、感染症対策として有効です。自治体への働きかけをよろしくお願いいたします。

 皆さんのご尽力と制度の歯車があった時に、どんな困難にも対応でき、国民のニーズに応えられるレジリエントな介護現場になり得るのだと思います。これからも介護現場と制度をつなぐ役割として働いてまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

月刊 老施協 2021年5月号

コロナ禍での介護現場の頑張りに感謝を申し上げたい

対談相手:田村憲久 厚生労働大臣・衆議院議員

今月は、新型コロナ対策の指揮を執る田村憲久厚生労働大臣とお話しをする機会をいただき、コロナ対策などについて語り合いました。

そのだ:本日はご多忙のところ、ありがとうございます。

田村:高齢者施設の皆さまには、コロナウィルス感染症拡大防止に大変なご苦労をおかけしています。

そのだ:私は国会の場などで、介護現場の職員が献身的な努力をしている実情を訴え、政府に対して感染拡大防止策の充実を求めてきました。厚生労働省には、職員への慰労金支給をはじめ、介護報酬改定での基本報酬の特例措置なども手当てしていただきました。

田村:全国老施協の皆さんの声は、施策を検討するうえで参考にさせていただいています。

感染拡大を抑えこむうえで、高齢者施設等でのクラスター対策は非常に重要であることから、従事者等の集中的検査の実施等に取り組んでいますし、自治体には、施設で感染者が出た場合に備えて、感染制御・業務継続支援の専門チームをつくっていただき、施設による相談への対応や、必要に応じてチームを派遣していただくことをお願いしています。

そのだ:ワクチン接種も進んでいます。

田村:ワクチンについては、高齢者施設の職員の皆さんを高齢者に次ぐ接種順位としたほか、一定の要件を満たした高齢者施設の職員と高齢者を同時に接種することを認める旨の通知を1月に発出しました。

そのだ:退院した高齢者の受入れについてもご配慮いただきました。

田村:新型コロナウィルスで入院し、回復した高齢者を受け入れた施設には、特例で介護報酬を上乗せしています。

そのだ:病床の逼迫を防ぐために必要な施策ですが、患者のご家族様が他施設への入所を拒まれ、退院が進まないという現状もありますので、一般市民に向けても丁寧な「退院基準について」のアナウンスをお願いします。また、近畿圏や首都圏では、多くの自治体で病床が逼迫してきているなか、介護施設内で感染者が発生した場合、一定の条件の下、医療機関に入院させず施設にそのまま入所を続けるよう、自治体から指示を受けることもあるようです。我々もできる限り協力していきたいと思っていますが、治療設備や専門的知識が十分でなく、他の入所者への感染の危険性も大きいことから、大変不安に感じているのが実情です。

田村:その件については自治体に施設内の感染者の入院について最大限の配慮を働きかけ、仮に入所継続となった場合は、入所継続措置の前提となる諸要件の遵守を徹底したいと考えています。

そのだ:医療機関に対しては新型コロナ病床を設けた場合の補助金制度が設けられていますが、介護施設の負担や努力に対しても、ぜひ何らかの経済的な支援措置をご検討いただきたいと思います。

田村:介護現場の皆さまには、これまでも多くのご協力をいただき、大変感謝しています。皆さまの安全の確保のためにも、感染対策の徹底を改めてお願いさせていただくとともに、厚生労働省としても、引き続きしっかりと支援を行っていきます。

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月刊 老施協 2021年4月号

施設・事業所が連携し運営の効率化を図ることも必要

対談相手:宮島俊彦 岡山大学客員教授 元厚生労働省老健局長

今回お招きした宮島俊彦さんは、厚生労働省保険局国民健康保険課長や大臣官房審議官、老健局長などを歴任され、在任中は地域包括ケアシステムの土台づくりにも取り組まれました。

そのだ:宮島さんが厚生労働省を退官されて以降、介護をめぐる状況は大きく変化しています。

宮島:特に介護人材の不足が深刻ですね。

そのだ:施設職員も足りませんが、新型コロナウィルス感染症が拡大するなか、在宅のホームヘルパー不足も危機的ですし、ケアマネジャーの不足も問題になっています。人手確保に加え、地方では高齢者の減少が始まり、利用者が減ることで事業運営が厳しくなっていくという問題も出てきています。

宮島:かつて各県でどんどん造られた50床の特別養護老人ホームの運営が厳しくなっているようです。対応策の一つとして考えられるのが、複数の施設・事業所で連携をすることです。請求事務や労務管理などを同じデータベースを用いてオンラインで処理できるようにすれば効率化が進み、その分、職員の処遇改善に回す原資も増やせます。

そのだ:国も介護現場でのテクノロジー活用について、いろいろな方策を検討しています。介護事業者には今後、科学的介護への対応が求められます。今回の介護報酬改定ににもLIFE(科学的介護情報システム)の活用が盛り込まれました。

宮島:フレイル(虚弱)予防には、「あ・し・た」つまり「あるく」(身体活動)、「しゃべる」(社会参加)、「たべる」(食生活・口腔機能)が重要だと言われています。LIFEはVISITのリハビリのデータとCHASEの口腔ケアと栄養状態のデータを統合し、これを利用してケアの質を向上させていこうというものです。介護現場には大きな力となると思いますが、ビッグデータになるまで長い目で見てじっくり取り組んでいく必要もあるでしょう。

そのだ:今後、高齢者施設では看取りへの対応も大きな課題となります。

宮島:鹿児島県のそのだ先生の施設では、看取りに積極的に取り組まれているそうですね。

そのだ:「看取りケア率100%」を達成して12年目を迎えます。素晴らしい在宅医がいてくれて、10人の看護師がサポートしてくれているからこそ、それが可能になっています。

宮島:人工呼吸器などの機械に囲まれながら最期を迎える病院に対し、高齢者施設での最期は人として自然というか、穏やかな印象があります。これからもより良い介護の実現に努めて頂ければと思います。

そのだ:今後ともご指導のほど、よろしくお願いします。

ればと考えています。

土生:個々の加算や基準のあり方を考えるには、制度を実際に使われている方々の意見を聴くことが大切です。今回の介護報酬改定も全国老施協をはじめ関係団体からご意見・ご要望をいただき、それらをもとに分科会で議論を重ねた内容が具体的施策として結実しました。科学的介護の推進など将来を見据えて施設・事業所でやるべきこともかなり盛り込まれましたが、ケアの質の向上、経営の安定化、人材確保などにつなげていただきたいと思います。

そのだ:今後とも介護現場が安定的にサービス提供を続けられるよう、ご協力のほどよろしくお願いします。

LIFEに関する質問と厚労省回答

 

皆さん、LIFE導入に向けて、ご苦労をされていると思います。現場からの質問を多くいただいておりましたので、厚労省に問い合わせ、回答がかえって参りました。共有いたします。

特に、ICT導入支援事業の利用については、都道府県との調整が必要になります。国との話では、令和2年度第三次補正予算において、それまで1/2下限であったところから、3/4下限まで補助率を引き上げました。また、補助対象には、Wi-Fi機器の購入設置が含まれています。これには、居室までWi-Fi機器を引くことも含まれます。

具体的には、都道府県との調整がとにかく大事です。働きかけてくださいね。

コロナ禍の介護報酬改定。非常に大変かと思いますが、現場の負担をできるだけ減らせるように、引き続き、気を配らせたいと思います。

次の課題は、様々な計画書における重複項目について、入力作業を効率化させることかなと思っています。お困りのことがあれば、いつでもお声がけください。

よろしくお願いいたします。

月刊 老施協 2021年3月号

関連団体の意見や要望が介護報酬改定内容に結実

対談相手:土生栄二 厚生労働省老健局長

今回は、厚生労働大臣官房長を経て昨年、高齢者福祉・介護施策を担当する厚生労働省老健局のトップに就任された土生栄二局長をお迎えしました。これまで同局振興課長や社会・援護局福祉人材確保対策室長を経験され、高齢者福祉について熟知されている土生局長と、新型コロナウィルス感染症への対応や介護人材の不足などをテーマに意見交換しました。

そのだ:土生局長には日々、高齢者福祉・介護のためにご尽力いただいています。新型コロナウィルス感染症への対応では、医療従事者へのワクチンの優先接種が始まり、高齢者、基礎疾患のある人、介護事業者のご利用と職員が続くわけですが、施設のみならず在宅介護サービスに関わる人も優先接種の対象にしていただきました。感謝申し上げます。

土生:医療提供体制がひっ迫するなか、感染しても在宅でケアを受け続けなければならない高齢者はいらっしゃいます。田村憲久厚生労働大臣のご指示があり、地域ごとのご判断で在宅介護サービスを継続して提供する職員の方も優先接種の対象に加えていただけるようにしました。

そのだ:慢性的な人材不足の状況にある介護現場が、新型コロナでさらに困難な状況になることは避けなければなりません。厚生労働省では、介護人材確保にかかる施策として、経験者の復帰促進などに取り組んでおられます。

土生:介護現場に復帰・定着していただければ、復職に要した費用の貸付金を免除する事業を来年度予算案に盛り込んでいます。コロナ禍において変化している雇用情勢への対応が当面の課題ですが、長い目で見れば、労働力人口の減少という問題があります。これは老健局のみならず、社会・援護局や省の労働部局とも連携し、元気な高齢者や女性の活躍の推進などあらゆる施策に一段とギアを上げて取り組み、対応していかなければならない課題と捉えています。それには現場を知る方々の意見も重要です。ぜひご協力いただければと思います。

そのだ:今後とも介護現場が安定的にサービス提供を続けられるよう、ご協力のほどよろしくお願いします。

などの審議の素地をつくる手助けができればと考えています。

土生:個々の加算や基準のあり方を考えるには、制度を実際に使われている方々の意見を聴くことが大切です。今回の介護報酬改定も全国老施協をはじめ関係団体からご意見・ご要望をいただき、それらをもとに分科会で議論を重ねた内容が具体的施策として結実しました。科学的介護の推進など将来を見据えて施設・事業所でやるべきこともかなり盛り込まれましたが、ケアの質の向上、経営の安定化、人材確保などにつなげていただきたいと思います。

そのだ:今後とも介護現場が安定的にサービス提供を続けられるよう、ご協力のほどよろしくお願いします。