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月刊 老施協 2020年12月号

リーダーを育成し、働きやすく、将来に夢を持てる職場に

対談相手:高野龍昭 東洋大学ライフデザイン学部准教授, 結城康博 淑徳大学総合福祉学部教授

介護現場をより良くするためには、政策面でのサポートはきわめて重要です。間もなく明らかになる来年度の介護報酬改定や今後の介護業界の展望などについて、介護をご専門とされる東洋大学の高野龍昭先生と淑徳大学の結城康博先生にお話をうかがいました。

そのだ:3年に一度の介護報酬改定の概要が12月半ばに示されます。

結城:介護事業所の倒産件数は過去最高に達し、このままでは介護業界自体が潰れてしまうかもしれません。改定率は最低でも1~2%弱は上げていただきたいと思います。

高野:今年度は、2015年以降の介護報酬改定で介護現場が疲弊し、ただでさえ事業継続や人材確保が厳しかったところにコロナ禍が襲い、輪をかけて環境が悪化しました。立て直すために介護報酬を手厚くつけるのは当然でしょう。ただし国の財政状況は良くなく、多くのプラス改定は望めないと思います。

そのだ:厚生労働省は財源をしっかり見つけて手当てしたいと一生懸命ですが、財務省との兼ね合い、薬価とのバランスもあります。一方、これまでは加算という形で介護現場の改善に取り組んできましたが、これが逆効果になっている面も見られ、見直しが必要でないかと思います。

高野:重要な政策に誘導する目的もあり加算を設定してきましたが、実際に利用者や現場が求めていることとズレが生じているのは否めません。その辺りを整理する必要があります。加算が増えると現場の手間がかかり、そうした負担にも配慮が必要です。基本報酬をしっかりつけて、加算をスリム化する方向性が望ましいと考えています。

結城:高野先生のおっしゃるとおりです。加算については介護給付費分科会でも議論が交わされていますが、複雑な仕組みになりすぎてはいけません。基本報酬できちんと考えていくべきでしょう。

そのだ:報酬改定もさることながら、深刻な人手不足にも手を打たなければなりません。

結城:組織では、リーダーの善し悪しが職場環境に影響します。リーダーを養成する研修を徹底しなければなりません。今、私のゼミ生は限られた優良な介護事業所にしか照会できていないのが現状です。給与の問題とは別に、働きやすい事業所をどんどん増やしていくことが肝心です。

高野:給与の水準も重要ですが、働きやすさ、キャリアアップの道筋、良い指導者の存在など、将来に夢を描けるような職場にすることが重要だと思います。

そのだ:報酬改定への働きかけはもちろん、リーダーの育成も全国老施協の務めです。今、コロナ禍により、オンラインでの大会や研修を実施しています。両先生にも研修講師や講演などで、ぜひご協力ください。

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