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第197回国会(臨時会)が閉会しました。10月24日に召集され、12月10日までの48日間の会期期間でした。
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私は、参議院厚生労働委員会の筆頭理事を拝命し、筆頭理事としてはじめて委員会運営に向き合いました。
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参議院厚生労働委員会で大きな議題となったのは、中央省庁による障害者雇用水増し問題、改正水道法、外国人材への機会を拡大する改正入管法についてでした(※1)。
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はじめに、官公庁における障害者雇用の不正問題につきまして、特に民間企業の皆さま、また日々障害者を支えている方々におかれましては、憤りをおぼえていらっしゃるかと思います。今般、委員会でも厳しく追及し、参考人招致まで行い、問題の究明と今後の対策について議論いたしました。そして、今後、法改正も含めた対策が取られることになりました。障害者雇用の公正な進歩のため、しっかりと目を配らせていきたいと思います。
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次に、与野党の攻防が大きかった改正水道法についてです。
各市町村では水道事業に大きな問題を抱えています。施設の老朽化、人口減少に伴う収入減少、人手不足など、私のところにも全国から多くの陳情が寄せられていました。
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そこで、今回の法改正では、「国や都道府県の責務を明確化して、広域化を推進し、事業者は基盤強化に努めること」そして、「官民連携を促進すること」、大きくこの二つが柱となっていました。
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与野党で争点になったのが、官民連携の促進です。
「コンセッション方式」というのがキーワードです。
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現在の水道事業でも官民連携は行われています。
ただ、4~5年という比較的短期の契約で、自治体が決定権を持ち、民間は決められたことを執行するという業務委託形式が取られています。そのため、民間事業者に自由度がなく、業務改善や人材育成、投資のインセンティブは働きません。複数の自治体から、もっと民間のノウハウを活用したい、という声が挙げられていました。
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PFI=民間資金を活用した社会資本整備、についてはある程度ご存知かと思います。平成23年(2011年)のPFI法改正時に、コンセッション方式の導入が可能になりました。コンセッション方式というのは、公共施設の所有権を自治体が持ったまま、運営権を長期間民間事業者に売却できるPFIのひとつの手法です。
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もともとPFI法では、成立当初から水道事業についてもPFI法対象となっていたので、法改正前でもコンセッション方式の導入は可能でした。これまで大阪市や奈良市など、6自治体で検討されていました。しかし、なかなか議会の賛同を得られず導入事例はありません。
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災害の時はどうしますか?
運営企業が経営破綻したらどうしますか?
料金が高騰したらどうしますか?
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水道法改正前は、コンセッションを活用する場合、自治体は水道事業の主体的な関わりを失うことになっていました。
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そこで、今回の水道法改正で、運営権契約と水道法上の責任の乖離を解消し、自治体が引き続き水道事業者として継続的に関与しながらも、コンセッションを活用できるようにしました。つまり、自治体にとって、実現可能な選択肢を増やした、ということです。
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たとえば、この法案を見越して、宮城県では上水・工水・下水3事業一体によるコンセッションを活用した官民連携方式を導入したいと計画しています。
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県はこれまでどおり認可を得た水道用水供給事業者、民間事業者は運営権者となります。
民間事業者は20年間の運営権契約に基づき供給サービスの提供と設備投資を行います。
県は利用者と料金を設定します。料金は条例で改定されます。
事業計画や料金設定は国が審査する許可制です。
県議会、市議会はしっかりと監視しなければなりません。
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みやぎ型の導入により、期間20年なので、民間事業者における従業員の雇用の安定、人材育成、技術継承・革新が可能となります。また、上・工・下3事業一体によるスケールメリットが期待されます。そして、現行体制とコンセッションモデルを比較すると、335億円~546億円の総事業費削減になります。
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水道事業型のコンセッション方式を選択可能とすることにより、このような自治体の創意工夫を引き出すことが、今回の水道法改正によって可能になりました。
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最後に、改正入管法についてです。
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介護現場は逼迫した人手不足に悩まされています。どの産業も日本全国人手不足なのですが、介護は特に深刻なのです。一般的に、有効求人倍率が2倍を超えると「人手不足」と言われますが、介護の有効求人倍率は全国平均約3.7倍、東京の有効求人倍率に至っては、約7倍です。段階の世代が後期高齢者(75歳)を迎える2025年に向け、介護需要は増大する予測ですが、人手不足のために必要な介護サービスを供給できないという状況になっています。
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この夏、私は日メコン議連でベトナム等に行きました。フック首相や担当の方々に介護の技能実習生の送り出しについて相談したときに、「今はまだ“日本に来たい!”と思ってもらえているが・・・、急がないと、人材は韓国、台湾、中国やドイツなどのヨーロッパの国々に行ってしまうぞ」と切実に感じました。
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改正入管法を通さなければならかったのは、とりもなおさず逼迫する人材不足にできるだけ早くに対応するためであり、外国人材にとって日本という「働く場所」の国際競争力を上げていくための環境作りを迅速に開始するためだと私は理解しています。
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改正入管法は、人手不足が顕著な分野(※2)について、相当程度の知識または経験を必要等する業務に従事する「特定技能」を創設します。受入れ業種や人数、新たな在留資格「特定技能」に求められる技能水準、受入れ企業・事業者と連携して外国人の支援に当たる「登録支援機関」の規模といった項目は、今後、省令で具体的に定められます。
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法案審議の過程では、厚生労働部会(小泉進次郎議員が部会長で、私は副部会長)で、「新たな外国人材の受入れ制度に関する決議」というかたちで、真の多文化共生社会を実現していくため、環境整備を行っていくことを約束・要望しました。法務省では9月より共生策の検討を始めており、政府は年内を目処に共生策をとりまとめる方針です。
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また、自民党公明党で、この法案は3年後に見直しを行うことを条件として出しています。人手不足をどうにかしのぎながら、外国人材と多文化共生社会を作って、日本の経済を支えていく。そのことをしっかりとやっていきたいと思います。介護においては、厚生労働省の担当課と一緒に、現場とコミュニケーションをしっかりと取りながら、良い制度を作っていきたいと思います。
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介護業界の人材不足対策は、何よりも、職員が働きがいを持てる職場を作ることが大事です。日本人が働きにくい職場に外国人材が定着してくれるわけはありません。逆に、外国人材を受入れ、彼らが働きやすい職場を作ることで、日本人にとっても働きがいのある良い職場になるのかもしれません。
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前向きにやっていきましょう!!
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さて、国会とは直接には関係ありませんが、2019年10月の消費税率引き上げに伴い、介護分野で新たな処遇改善を実施予定であり、現在、処遇改善の具体的な内容について、最終的な詰めの作業を行っています。
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私は、人手不足の原因のひとつは、介護の現場で長く働いていて、技能をつけ、職位が上になっても、なかなか給与が増えないことだと思っています。若手で入職して、結婚して、子どもができる。子どもにしっかりとした教育を受けさせられるだけの給与の将来展望が描けるかどうか、というのは大きなことだと思います。また、そういった将来展望が描ける仕事であれば、自分の子どもに介護という仕事を進めるでしょう。それができていないことが問題だと思っています。
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今までの処遇改善のあり方は、このような問題を解決するようにはなっていません。
これまでは介護職員のみに与えられていました。しかし、介護は、様々な専門職種の技術があってこそ成り立つチームケアです。「頑張って、ケアマネージャーの資格を取りました。しかし、処遇改善加算は介護職員のみなので、ケアマネの仕事はしたくないので、異動しません。」そんなことが現場では続いています。
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また、現場は各事業所のマネジメントによって動いていますが、現行の処遇改善加算は人材マネジメントの視点が抜けています。実績によらず、単に職種が該当しただけで給与が上がり、その対象とならない職員は給与が据え置かれることは、人材マネジメント上、大きな弊害をもたらします。事業所は赤字覚悟で対象外の職員の給与も上げるか、それができない場合、処遇改善加算を取るのを取りやめる、ということも出てきています。これでは持続可能な介護現場となりません。
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よって、私はこの新しい処遇改善について、施設・事業所に勤務するすべての職員に、事業所の裁量で配分できるようにすべきだと思っています。
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平成30年も残すところわずかです。
年末まで走り抜けて参ります。
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※1参議院厚生労働委員会に付託され、今国会で成立した法律
- 水道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
- 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)
- 健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法案(厚生労働委員長提出)
- 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案(衆議院提出)
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※2受入れ希望をしている業種は以下の14業種
介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業(水産加工業を含む。)、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業(空港グランドハンドリング、航空機整備)、宿泊業