厚生労働委員会で質問しました<年金機構不祥事問題>

近況報告活動報告

2018年3月29日 厚生労働委員会 議事録より
国会会議録検索システム 参議院厚生労働委員会 第5号 平成30年3月29日

    そのだ修光君 自民党のそのだ修光です。
     今回の年金集中は、本当に同僚の先生方、特に先輩の議員の先生方からお許しをいただいて、今日ここにこうして立たせていただいております。
     今、説明をいただきました。そしてまた、今回の年金集中の目的は、昨年の共済と年金機構の連携の不全によって、振替加算問題、積み残しを議論するということで、元々それが目的でこの年金集中やるということだったんですよ。しかしながら、その議論を待たずに、今回、委託業者の入力ミス、再委託等の契約違反という新たな不祥事が発覚をした。今説明あったとおりであります。このことは、大変遺憾であって、残念なことであると私は思っております。
     年金とは、やっぱり国民の皆さんが長年にわたりこつこつこつこつ支払をして、そして受給に至るものであります。それがずさんな管理で過少支給が起きた。そしてまた、今回の、今の説明でもありましたけれども、後から差額を支払えば済むという、こんな性格のものじゃない、それはもうみんなが認識していることだと思いますよ。年金はお年寄りの命綱なんですよ。本当に生活をする面で十円、一円が大事なんですね、お年寄りにとっては。
     また、民間の金融機関、もしも不祥事があったり利子が支払われていないといったら、すぐ銀行を替えますよ。しかし、年金の場合は替わるところがないじゃないですか、皆さん。これは、金融機関、これ信用事業、もちろん金融機関は信用事業ですよね。信用が失墜したら、今、若者が年金離れをよく言われている。これ、払う人なんかいなくなりますよ。こんな状況を毎回毎回、国会のたびに新たな不祥事が出るような状況であっては、これもうどうしようもならない。
     今回、厚労省と年金機構はもう反省の上にも反省をしていただいて、そして実行可能な改善策というのを提示してもらわなきゃならぬ。今説明していただいたこんなもので、また新たな不祥事が出ましたなんという、これはもう許されないことだと私は思っております。先ほど先輩の議員から、しっかりとただせよと、あなたを質問者と選んだんだからということで、先ほどお叱りをいただきました。これは本当にゆゆしき問題だろうと思っています。
     ですから、これから五つ六つの問いを皆さんにお伺いいたしますけれども、まず最初に、社会保険庁が解体されて日本年金機構に移行することになった経緯と目的を教えていただきたいと思います。
    政府参考人(高橋俊之君) お答えを申し上げます。
     旧社会保険庁におきましては、年金記録問題、あるいは国民年金不正免除問題、業務目的外閲覧など大変度重なる不祥事や、国民の立場に立ったとは言い難い事業運営が起きるなどの問題がございました。大変御迷惑をお掛けいたしたところでございます。
     こうした組織の体質を一新するとともに、真に国民の信頼を回復できる新たな組織の実現を目指しまして、新たに非公務員型の公法人として日本年金機構を設立いたしまして、厚生労働大臣の直接的な指導監督の下で公的年金に係る一連の業務運営を担わせるということとしたものでございました。
     また、年金業務の実務を担う専門組織としての役割を明確化すること、また組織のガバナンスを強化すること、能力と実績に基づく人事給与体系を可能とすることなどによりまして、サービスの向上と事業運営の効率化、また業務運営における公正性、透明性の確保を期待できるような組織として日本年金機構を設立したところでございます。
    そのだ修光君 今言われたことが、この年金機構、どうなんですか。また同じことの繰り返しでしょう。この、ちょうど年金機構が発足したのは二〇一〇年ですから、今、二〇一八年三月ですよね。これが年金機構に移行してまだ一年足らずという話ならまだ分かりますよ。もう約八年、八年を迎えて同じことの繰り返しをやっているんですよ。社会保険庁まで解体をして、新しい年金機構に移すって、八年前にやったことをまた新たにやらなきゃならないぐらい大きな問題だと私は思っていますよ。じゃ、年金機構、これからどこにどう移すのと、それぐらいの問題意識を持ってもらわないと、このことは、これ、やっぱり年金を受け取る人たちにとれば、不安が不安を呼んでいきますよ、このことは。
     ちょっと機構の水島理事長に聞かせていただきたいと思います。
     年金受給者が六千万人、対して日本年金機構の職員は正規で一万人、非正規が一万人、約二万人の体制だと聞いているんです。水島理事長は三井住友銀行の副頭取までされた方で、民間の様子はよく御存じだろうと思っています。先ほど、信用事業と全く、銀行と一緒なんだよということを私は話をさせていただきましたけれども、水島理事長から見て、日本年金機構は今後、度重なる不祥事に対してどのような対策を講じるべきなのか、そして、今現在の年金機構の法的、予算的、経営的な環境に本当に問題はないのか。私は、理事長から、民間の経験があればこその理事長からこのことはやっぱり率直に言ってもらわないと、これ新たなスタートできないと思いますよ。どうかよろしくお願いします。
    参考人(水島藤一郎君) 改めまして、この度の事案に関しまして深くおわびを申し上げる次第でございます。
     加えまして、この数年だけでも、不正アクセスによる情報流出事案が、一昨年でございましょうか、発生をいたしまして、また昨年には振替加算の十万六千人、約六百億弱の未払が判明をいたしまして、これに関しまして公表をさせていただき、現在その対処を進めているところでございます。
     加えまして、今回の事案が発生をいたしましたわけでございまして、当機構といたしましては、不正アクセス事案が発生いたしましたときに日本年金機構再生計画、再生プロジェクトを立ち上げまして、いわゆる制度を実務にする機関として、現場を中心とした組織にこの組織をつくり替えるという方向で努力をしてまいりました。詳しくは申し上げませんが、現在、七十一項目にわたる改革項目につきまして、職員は努力をして実現をしてきてくれていると思います。
     ただ、私が、今の御質問でございますが、民間から参りまして、この組織の経営に際し非常に難しいなと思っていることについて、二点ほど申し上げたいというふうに思います。
     まず一点は、申し上げるまでもございませんが、この機構は倒産をしない組織ということでございます。民間は常に倒産の恐怖にさらされながら、私も銀行でございましたが、金融危機、非常に長い金融危機がございました。その中で、いかに生き延びるかということについて日々腐心をし努力をしてまいりましたが、この機構は倒産をしないということについてどのように職員の意識にプラスの影響を与えていくかということについては、非常に難しい面があるというふうに感じております。言わば危機感が乏しいと言ってしまえばそれまででございますが、一つ一つの事象について、一人一人が全てに責任を持っていくという体制をつくり上げることが非常に難しいという面があると認識をいたしております。
     また、もう一点は、民間は自らの行動の尺度が、例えば利益でありますとか売上げでありますとか、そういう形で尺度がございます。この機構には尺度はございません。自らが尺度でありまして、自らのミッションが尺度であります。したがいまして、そのミッションについて、自らがそのミッションについて正当な価値を認められない、認めなければその仕事はできないわけでありますが、度重なる不祥事及び批判の中で、なかなか職員全員が自らの仕事に対して、ミッションに対して自信が持てないという状況が続いているという状況でございます。
     これを何としても変えなければならないというふうに考えておりますが、今回の事案も踏まえますと、今までの努力が水泡に帰したと、またゼロからのスタートだというふうに思っております。先生方の御指導をいただきながら、引き続き、機構の再生、国民の皆様の信頼を得る機構になるように、職員とともに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
    そのだ修光君 よく理事長、話していただきました。やっぱりこれ、親方日の丸なんですよ。倒産がない、そして、やった実績をどこでどういう形で職員があれするか、そのこともないと今理事長が言われた。そこまで理事長は真剣にこのことを考えておられる。それをいかにこれから徹底をして、前の社会保険庁じゃ駄目なんだよと、前の社会保険庁が今言われたとおりのことを、理事長、やっていたわけですから、だから機構に変わったんでしょう。もう一回原点に返ってこのことはやってもらわなきゃ。まず職員の、やっぱり職員の意識ですよね。意識から漏れたことが今回のことを、事あるごとに不祥事が起きてしまうということが起きたんだろうと思っているんです。
     そこで、日本年金機構の平成二十九年度計画、日本年金機構法の規定に基づき定める年度計画には外部委託の推進という項目があるんですね。事務の効率化、コスト削減のために書かれているが、外部委託によって信頼が失墜をしたとも今回の問題、言えると思うんです。民間では子会社が入力作業をやっていると私は聞いている、銀行なんかは、子会社で。外部委託の推進は果たして妥当なのかなと。
     このことについて、理事長、答えていただきたいと思います。
    参考人(水島藤一郎君) 日本年金機構の、平成二十年七月二十九日に閣議決定をされました、当面の業務運営に関する基本計画がございます。その中で、まず一点目として、外部委託により業務の効率化、コスト削減、国民サービス向上に資する業務については積極的に外部委託を行うと定められております。
     また一方で、人員に関しましては、刷新システム稼働二年後の機構の総人員数は一万四千四百七十人とし、うち一万七百七十人程度を正職員、三千七百人程度を有期雇用職員とすると定められております。現在の定員数は、正職員で一万八百八十人、有期雇用職員、これ無期化を含んでおりますが、一万一千百七十九人と、こういう状況でございます。
     一方で、日本年金機構、人事方針を設立当初定めておりますが、そこでは、総合職と一般職、地域限定職といった区分を設けずに、全ての正職員について全国異動を行うというふうに定められております。
     これらの人員の上限がある中で、かつ正規職員に関しまして職員間の区分を設けないという状況の中では、基本的に外部委託を進めざるを得ない構造にあるというふうに考えております。
     ただし、今回、大臣からも大変厳しい御指示を頂戴をいたしておりますが、今後、業務を委託する場合における事務処理の在り方を見直し、こうした事態が二度と生じないよう措置することという御指示をいただいております。
     私どもといたしましては、この前提で、外部委託事務に関しまして、より正確かつ安全、あるいはセキュリティーを確保して行ってまいるためにどのような対策を打たなければならないかということに関しまして、現在プロジェクトチームを組成し、検討中でございますが、加えまして、来月にも設置をいたします外部有識者のみによる調査委員会にも御意見を承り、早急に結論を得てまいりたいというふうに考えております。
    そのだ修光君 今理事長から御答弁いただきました。外部委託は妥当だったんだろうかという話を聞かせてくださいと。いや、法律の中で縛ってあるからどうにもいかないと。いや、この法律を作るのは、皆さんであって、我々であって、やっぱり理事長に就かれた、水島理事長が就かれて、この部分はもう少し我々に、信用してほしいとか、職員を信用してやらせてほしいとかいうところが、もう含みのある発言を私はされたと思いますよ。だから、外部の、法律で定まっているから我々そこを乗り越えることはできないんですよと、だから外部委託にしなきゃならないんですよと。そんなことではこれまた同じことの繰り返しが私は起こってくると思って不安なんですよ。
     これからまた外部との、もちろん外部の皆さんにこのことも検証をしていただくと。そのことの中で、これには水島理事長出られるんですか、外部のその会合には。ちょっとこれ、答弁をあれしていませんけれども、ちょっと答えてくださいよ。
    参考人(水島藤一郎君) この調査委員会は外部委員によってのみ構成されておりますが、私どもから状況の御報告、あるいは私どもが考えておりますことについて御報告申し上げる機会はあるというふうに思っておりますので、その際は申し上げてまいりたいというふうに思います。
     それから、今先生から御指摘いただきました件でございますが、私は、外部委託に関しまして、やるべき外部委託とそうでない外部委託というのはあるというふうに思っております。特に、特定個人情報、マイナンバーでございますが、このように極めて重要な個人情報を取り扱う状況の中で、果たしてこのような業務が、マイナンバーを取り扱う業務について完全に外部委託をしてもいいかどうかについては慎重な検討を要するというふうに考えておりまして、その在り方についてより踏み込んだ検討を行いたいというふうに考えております。
    そのだ修光君 よく理事長言ってくださいました。それはもうしっかりと、理事長自身が見ているんですから、ほかの外部が見ているんじゃないですよ。理事長自身がこの機構は見ているんですから、そのことはしっかりと訴えてやっていただきたい。少し、少しですよ、不安が払拭されたような気がしてなりませんけれども……(発言する者あり)言い過ぎ、言い過ぎではないんです。
     ちょっと今回の問題で一つ、今、今回ありました、これは、年金受給者の皆さんのマイナンバーや所得の形で、今まではがきで申し込んでいたのが紙面になって、それを申し込んでくださいという、このことですね。これからこういうことではこれもやっていけないような。先ほどから言いますように、年金はお年寄りの命綱なんですよ。
     その人たちが、ちょうどこの前ですかね、三月のあれで、高齢者の人口に対して後期高齢者が半分以上になっちゃったんですよ、もう。現在、半分以上になっているんですよ、高齢者全体のうちの後期高齢者。高齢者になって認知症というのは大体三%ぐらいなんですよ、高齢者ですよ。それが後期高齢者になると一割超えちゃうんですよ。もう一割以上になっちゃう。八十を超えるともう三割近くにみんななってしまうんですよ。それぐらい認知症というのはある。そういう認知症の、圧倒的に増えていくんですけれども、先ほど話をした煩雑な書類のあれなんてできないんですよ。これはやっぱり年金機構の仕事、あるいは厚労省の仕事だと思いますよ。その人たちにいかにしっかりとした書類を、そして受給されるお金も少なくなったり多くなったり、そういう状況じゃならないんですよ。
     ですから、そのことも、これからどういう認識でおられるのか、ちょっと理事長、もう理事長と話をしていますけど、理事長、ちょっと答えていただきたいと思います。
    参考人(水島藤一郎君) 御指摘のとおり、この度の扶養親族申告書におきましても、制度変更があったとはいえ、大変御理解をいただくのが難しい書類をお届けしてしまったというふうに心から反省をいたしております。
     今、最終的に未提出の方が七十万人ぐらいに達するかというふうに、三月九日現在でございますが、の数字でございますが、この方々にどのようにして御提出いただくかということにつきましては、もちろん再勧奨の、勧奨という言葉が適切かどうか分かりませんが、お願いの文書をお送りする、あるいは申告書を簡便なものにするという努力をいたしております。
     今御指摘の点でございますが、先ほど来御指導をいただいておりますが、大臣からも厳しくお叱りをいただきましたが、私ども、全体にやはり支給という観点が、言葉として、言葉遣いとしてこのような使い方をすることが多くあります。やはりこれは私ども側の言葉でございまして、やはり受給者の方々の立場をいかに考えるかということが重要だと思いますし、そのために、今機構に不足をいたしておりますことは、高齢者の方々をセグメントして、どのようなニーズがあり、どのような、例えば御通知を申し上げる方法にしても、どのような形でお手元に届いて御理解いただけるような努力をしていくかということについて、よりきめ細かな努力をしなければならないというふうに考えております。
     機構内に対策を検討する部門を設けまして、早急に具体的な結論を得たいというふうに考えております。
    そのだ修光君 今まで理事長と話をさせていただいて、最後、厚労大臣なんですけれども、率直に、今回のこの今理事長とのやり取りを聞いて、そしてまた、実は私は、年金問題といえば、あのGPIF、何十兆、何兆という話を、利子で運用ができていますよと、何十兆、何兆の話をよくされていたんですよ。しかし、受給者というのは、さっきから言うように、十円も一円も大事なんですよ。だから、職員の数がどうのこうのと、もうけたお金でしっかりと管理ができるぐらいの職員の数を理事長、ちゃんと言わなきゃいけませんよ。これじゃできないならできないと、そういうことを徹底しないと、今回のような繰り返しは必ずまた出てくると思いますよ。
     厚労大臣から一言、今回のことについて大臣の決意を聞かせていただいて、質問を終わりたいと思いますから。
    国務大臣(加藤勝信君) 今、そのだ委員と理事長の間でかなり突っ込まれた議論もなされたというふうに思います。
     こうした、今回のみならず、ここ一連の様々な事案が発生をしていたと。もちろん、社会保険庁から機構になる中でそれなりの努力はされてきて、改善された点も確かにあるのは事実だと思いますけれども、しかし他方で、こうしたまさに年金受給者の皆さん方の支給そのものに係る事案も先般の振替加算含めて様々に発生しているということ、我々も監督する立場として謙虚に反省をしていかなければならないというふうに思っております。
     そういう意味で、まずは今回の事案について、こうした事態を二度と招かないように、機構で外部委託を含めた事務処理の在り方、この全般をまず専門家の方によって見直しをしていただくということにしているところでございます。
     また、社会保障審議会年金事業管理部会というのがございますので、そこにおいても、今回の事案について等の報告、またこうした形で調査を、審議をお願いしているということ。またさらには、そこにおける外部の有識者による、機構が設けるこの調査をする調査委員会におけるその審議あるいは調査、その状況も社会保障審議会年金事業管理部会にお諮りをして、そうした外部の知見もいただきながら機構の指導監督にしっかりと対応していきたいというふうに思っております。
     やはり要諦、今委員からもお話がありましたように、やはりこの年金受給者の方々が、月々というか二月に一回支給されるわけでありますけれども、もうそれを糧としながらその間の生活をされているんだということ、そして、常にその受給者の立場に立ちながら、私どもも含め、機構も含め、私どもは仕事をしていかなければならない、そこを肝に置きながら、今申し上げたような改革にしっかりと取り組ませていただきたいというふうに思っております。
    そのだ修光君 もう今大臣がしっかりやるということですから、次にまた不祥事が出て、いや、あのとき言ったのは違いましたなんということなんかもう言えないと思いますよ。これだけはしっかりやっていただきたい。どうかよろしくお願いします。
     終わります。