月刊 老施協 2018年10月号

ニュース月刊老施協

AIと人間が“共創”する幸せな介護を実現したい

株式会社CDI 代表取締役社長 岡本茂雄さんとの対談

 
 

    そのだ:岡本社長は、AIによるケアマネ支援ツールの開発で広く知られていて、昨年は埼玉県和光市等で実証事件を実施されたそうですね。こういった取り組みは、人手不足に悩む社会福祉法人の課題解消に役立つはずです。システムの特徴や開発にあたって留意したことはあります。
    岡本:何より、現場とかけ離れた開発は避けたいと考えました。開発スタッフは介護・看護の専門職が最も大きな割合を占めています。彼らと介護やケアマネジメントの理想像を語り合いながら、ニーズ志向でシステムをつくっています。また、AIやロボットが勝手に動いて介護が良くなるわけではありません。高齢者の自立促進や生き様を相談する相手はケアマネをはじめとする“人”です。ニーズは人がしっかりと受け止め、目標達成を効率よく実現できるケアプランの作成を支援するのがAIの役割。両者が協働する「共創型の介護」を実現するのが大きな特徴です。
    そのだ:AIにすべてを任せるのではなく、介護職員とタッグを組むというわけですね。人が置き去りにされるわけではなく、テクノロジーと協力しながら最適なケアプランを形にするときいて安心しました。
    岡本:介護の主役は利用者やケアマネをはじめとしたスタッフであり、AIはパートナーとしてお手伝いをするという役割です。うまく活用できれば現場の負担は減り、さらに質の高い介護が実現します。ケアを通じて高齢者は幸せにならないといけません。介護に携わる人がそのための時間を存分に割けるようになればと思います。AIを進化させるためには、良いケアとは何かという方向性を教え込むことが必要です。それには現場の声やデータが不可欠です。ノウハウが蓄積されたAIは、日本のみならず、全世界のケアに貢献できるでしょう。
    そのだ:介護現場は生活の場で有り、利用者の尊厳を守らないといけません。全国老施協では利用者に寄り添う「伴走型介護」を掲げていますが、ケアマネが使いこなせる有用なAIがあれば、利用者やご家族、介護職員すべての幸せにつながっていくでしょう。全国老施協には1万1000の会員施設があり、たくさんの知見やデータを持っています。ぜひ、我々も協力させていただき、介護の質の向上をともにめざしたいと思います。

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