月刊 老施協 12月号

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日本の介護制度の将来を決める2018年度介護報酬改定

衆議院議員 自民党政調会長代理(厚生労働担当) 田村憲久先生との対談

そのだ:私も厚生労働委員会にいるから分かるのですが、厚労関係の役所の皆様は田村先生を一番信頼されています。同時に、介護現場の人たちに「誰に話を聞きたいか」と問うと、「田村さんにお会いしたい」という声が圧倒的に多いです。

田村:私は政調会長代理を3年間務めていますので厚生行政についての流れも分かります。介護報酬改定などについてもちゃんと進められるよう、全力で協力させていただきます。

 ご存知のように平成27年度の介護報酬改定はマイナス2.27%となり、深刻な人材不足に伴う人件費の高騰もあって、この2年で介護事業所の経営は極端に厳しくなっています。厚生労働省の介護事業経営実態調査を見ても、平成26年度には介護サービス全体の収支差率が7.8%でしたが、改定後の平成29年度は3.3%と4.5ポイントも縮小しています。特に特別養護老人ホームに至っては8.7%から1.6%と7.1ポイントも縮小し、全体の33.8%が赤字経営を強いられているという状況です。

 実調はもともとトレンドをつかむ性格のものでした。これを財務省が利用したわけです。7.8%という数字をとらえて、「一般企業と比べて収益率が高過ぎる」として当初は6%近い下げを言い出しました。何とかマイナス2.27%で決着しましたが、これは処遇改善加算が1.65%のっていますから、実態としてマイナス4%に近い改定だったことになります。私たちは厚生労働省老健局に対し、もっと精緻な調査をするよう求め、今回の3.3%という数値が出てきました。

そのだ:人件費の割合が高い特養などの介護施設は経営が圧迫されています。このままでは介護の所得水準は全産業で下位のまま。人材は離れていくばかりです。

田村:人材確保は重要な問題と捉えています。報酬のこともありますが今回、技能実習制度に介護分野を作り、同時に外国人の方々が介護福祉士の資格を取得すれば、市在留資格を与えるための入管法の改正も行いました。

 次期報酬改定は医療との同時改定であり、日本の介護がどうなるかを決める大事な改定でもあります。私は基本報酬をプラス改定しなければ、多くの介護時商社が経営破たんし、担う人材もいなくなる「介護崩壊」が起きるのではないか、と心配しています。

そのだ:本日はお忙しい中をありがとうございました。田村先生にはぜひ財務大臣になっていただき、改めて対談の機会を設けさせてください。

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