月刊 老施協 11月号

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言うべきことは言う政治

第137回国際列国同盟(IPU)定例会議

 先月10月14日から18日までロシアのサンクトペテルブルグで開催された第137回国際列国同盟(IPU)定例会議に、日本国会代表団団長として参加してきました。衆議院解散総選挙中でしたが、政治の空白は作るべきではありません。世界173カ国の議会議員が集まる国際会議の場で、北朝鮮の核・ミサイル開発についての脅威を訴え、国際社会に理解を示していただく必要があります。そのため、日本からは緊急追加議案の提案や本会議の場において北朝鮮を非難する演説等の働きかけを行いました。

 本会議の演説で、北朝鮮の核・ミサイル開発について非難すると、突如、北朝鮮の代表団が協議を行い、原稿を書き換えるという場面も見られました。このようなやり取りの結果として、定例会議のまとめとして出されるIPU議長声明の中には、北朝鮮の核実験を念頭に「あらゆる核実験を最も強い言葉で非難」という文言が盛り込まれました。これは、北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威を訴える日本に国際社会が理解を示した形です。改めて、「言うべきことは言う政治」が重要であると感じました。

 さて、先日、財務省から診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、マイナス改定を求める報告書が出されました。しかし、これ以上の介護報酬本体の引き下げは、高齢者福祉を崩壊させます。平成29年度介護事業経営実態調査の結果によると、特養の収支差率は1.6%と過去最低を記録。そして赤字施設は全体の33.8%と過去最大の水準です。各種加算体制を整え、質の高いケアを提供する努力を行う事業所も増えていますが、前回の本体報酬の引下げは、現場に「いかなる努力をしても、維持は望めても、収益にはつながらない」という疲弊感を醸成しています。実費が反映されない食費・居住費、高騰する建築費による建て替え困難、増え続ける人件費率、そして、深刻な人材不足。一方で、生産性向上や質の向上に向けた科学的介護の実践をしようにもICT等への設備投資や職員への研修機会の提供など、盤石な経営基盤がある一部の事業所でしか実現できません。このような状況で、国民が求める高齢者福祉を提供できるのでしょうか?いえ、できません。報酬改定に向けた基本的な視点には「事業者の持続可能性」を盛り込み、基本報酬のアップについて検討すべきです。

 「言うべきことは言う政治」を私は実践していきます。

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