「平穏死」という考え方の原点をこのホームで学んだ
世田谷区立特別養護老人ホーム 芦花ホーム 石飛幸三医師との対談
そのだ:特別養護老人ホームの医師として日々どのような思いで高齢者と関わっておられるのか、率直なところをお聞かせいただきたいと思い、本日は伺いました。
石飛:82歳になる私にとって、施設の利用者は仲間であり同僚です。毎朝、ここに来るとホッとします。「芦花ホームで過ごせて好かった」と思っていただけることが一番。そのため私は、この“人生の最終章の館”で、利用者の方がどう過ごしていきたいのか、同じような気持ちで日々考えています。
そのだ:先生ご自身が82歳とは驚きました。母体が医療経の社会福祉法人が運営する施設でも常勤配置医は極めて少ないのが現状です。看取り介護がますます重要になるなか、施設で看取りを行うためには、石飛先生のような医師のリーダーシップが欠かせません。常勤配置医が施設にいることで本にもご家族も納得する充実した看取りがどれだけ実現することでしょうか。
石飛:私たち人間は、自然の摂理でいずれ必ず最期を迎えます。食べたくなくなるのがその入り口です。食べられなくなれば、食べなければいい。するとやがて眠りはじめ、自然の麻酔がかかったようになり、本当に静かに最期を迎えていく。私はそれを、ここ芦花ホームで教えてもらい、「平穏死」ということを考えるようになりました。国の方針は「いつまでも元気で」という方向に向いています。間違いでもないのですが、人間の摂理を考えると、おかしいと思わざるを得ません。・利用者の終演をどうすることが本人のためなのかを本気で考え、本音で語り合えば、本人の願いを無視した“自立支援”などあり得ません。
そのだ:先生は芦花ホームを「伴走型」ともおっしゃっていますね。まさにその通りだとおもいますし、それを実践しておられます。今回、全国老施協の理事をお引き受けいただき、全国の施設の皆さんへの先生からの発信も期待しています。
石飛:芦花ホーム勤務12年目に突入するとは思ってもいませんでした。自分でも驚いています。ここで必要とされる限り、続けていこうと思っています。なぜなら、医者として意味のある、やりがいのある仕事だからです。身体が朽ちていく利用者の心をどう支えていくかのか。これほど崇高な仕事はありません。ぜひ一緒に頑張りましょう。
そのだ:石飛先生、本日はどうもありがとうございました。
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