月刊 老施協 2021年3月号

ニュース月刊老施協

関連団体の意見や要望が介護報酬改定内容に結実

対談相手:土生栄二 厚生労働省老健局長

今回は、厚生労働大臣官房長を経て昨年、高齢者福祉・介護施策を担当する厚生労働省老健局のトップに就任された土生栄二局長をお迎えしました。これまで同局振興課長や社会・援護局福祉人材確保対策室長を経験され、高齢者福祉について熟知されている土生局長と、新型コロナウィルス感染症への対応や介護人材の不足などをテーマに意見交換しました。

そのだ:土生局長には日々、高齢者福祉・介護のためにご尽力いただいています。新型コロナウィルス感染症への対応では、医療従事者へのワクチンの優先接種が始まり、高齢者、基礎疾患のある人、介護事業者のご利用と職員が続くわけですが、施設のみならず在宅介護サービスに関わる人も優先接種の対象にしていただきました。感謝申し上げます。

土生:医療提供体制がひっ迫するなか、感染しても在宅でケアを受け続けなければならない高齢者はいらっしゃいます。田村憲久厚生労働大臣のご指示があり、地域ごとのご判断で在宅介護サービスを継続して提供する職員の方も優先接種の対象に加えていただけるようにしました。

そのだ:慢性的な人材不足の状況にある介護現場が、新型コロナでさらに困難な状況になることは避けなければなりません。厚生労働省では、介護人材確保にかかる施策として、経験者の復帰促進などに取り組んでおられます。

土生:介護現場に復帰・定着していただければ、復職に要した費用の貸付金を免除する事業を来年度予算案に盛り込んでいます。コロナ禍において変化している雇用情勢への対応が当面の課題ですが、長い目で見れば、労働力人口の減少という問題があります。これは老健局のみならず、社会・援護局や省の労働部局とも連携し、元気な高齢者や女性の活躍の推進などあらゆる施策に一段とギアを上げて取り組み、対応していかなければならない課題と捉えています。それには現場を知る方々の意見も重要です。ぜひご協力いただければと思います。

そのだ:今後とも介護現場が安定的にサービス提供を続けられるよう、ご協力のほどよろしくお願いします。

などの審議の素地をつくる手助けができればと考えています。

土生:個々の加算や基準のあり方を考えるには、制度を実際に使われている方々の意見を聴くことが大切です。今回の介護報酬改定も全国老施協をはじめ関係団体からご意見・ご要望をいただき、それらをもとに分科会で議論を重ねた内容が具体的施策として結実しました。科学的介護の推進など将来を見据えて施設・事業所でやるべきこともかなり盛り込まれましたが、ケアの質の向上、経営の安定化、人材確保などにつなげていただきたいと思います。

そのだ:今後とも介護現場が安定的にサービス提供を続けられるよう、ご協力のほどよろしくお願いします。