月刊 老施協 2021年6月号

ニュース月刊老施協

レジリエントな介護現場に向けて

介護現場と制度をつなぐ

皆さん、こんにちは。新型コロナウイルス感染症が我々の社会生活を脅かすなか、ほぼ1年以上にわたり、日々の介護日常業務において細心の予防措置を講じているだけでなく、施設に感染を持ち込まないようプライベートの行動までも制限をし、本当に献身的な努力を続けていただいております。心より敬意と感謝を申し上げます。

 4月上旬頃から始まった新型コロナウイルス感染症第4波は、関西を中心に、高齢者施設に大きな負担をかけることになりました。施設内でのクラスターが相次ぎ、新型コロナウィルスに感染した入居者は原則入院であるにもかかわらず、入院できず、施設内で療養を続けていただかなければならない状況に陥りました。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げます。

 私の役割は、介護現場の皆さんと制度をつなぐことです。5月2日、菅義偉内閣総理大臣と財務省に介護現場の状況を伝え、支援をお願いして参りました。そして、5月6日には、参議院厚生労働委員会の場において、全国老施協に与野党の国会議員に介護現場のリアルな声を伝えてもらいました。厚生労働委員の皆さんに、「介護現場は大変だ。どうにかしなければ」という思いを強めていただく良い機会になったと思います。

 それらの結果、5月21日には、施設内療養時の介護施設側に対する支援策が設けられました。地域医療介護総合確保基金における、いわゆるかかりまし補助金の対象として追加される形となりますが、令和3年4月1日にまでさかのぼって施設内療養者1人1日1万円(上限15万円)が支給されることになりました。その後、「この支援策は有難いが、都道府県の理解が追いついていない」という現場の声をいただき、5月28日には厚労省から都道府県に対し、積極的な実施を促す通知を出してもらいました。

 また、介護施設の入居高齢者、職員の皆さんのワクチン接種状況はいかがでしょうか?菅義偉総理および田村憲久厚生労働大臣に、当協会の平石朗会長ほか介護団体の会長の皆さまからいただいた要望を届け、国の方では、早々に介護施設の職員は入居高齢者と同時接種を可能とするルールを設けておりました。ワクチンの調達が成功し、最近では、在宅系の介護職も自治体の判断でより柔軟に接種していただけるようになっています。

 接種を望まれる一人でも多くの方々にワクチンを接種していただくことが、感染症対策として有効です。自治体への働きかけをよろしくお願いいたします。

 皆さんのご尽力と制度の歯車があった時に、どんな困難にも対応でき、国民のニーズに応えられるレジリエントな介護現場になり得るのだと思います。これからも介護現場と制度をつなぐ役割として働いてまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。