月刊 老施協 2020年5月号

ニュース月刊老施協

現場の力を結集し

「介護崩壊」危機を乗り越えよう

対談相手:高野龍昭/東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科 准教授

新型コロナウィルス感染症が拡大するなか、感染リスクや人員不足から自主休業を選ぶ介護事業所が増えるという状況になりました。介護が必要な高齢者を守るため、事業者はどのように対応をすべきか、行政にはどのような支援が求められるのか、などについて、介護現場を熟知する東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭先生に話しをうかがいました(リモート対談を実施)

そのだ:介護分野における国の新型コロナウィルス感染症への対応について、どのように考えておられますか。

高野:厚生労働省が約10日ごとに介護事業所(通所系・短期入所系)の休業件数を公表しています。件数とともに「全事業所の1%かそれ以下など」といった割合も示しているのですが、実体として訪問回数や定員を減らすなど事業を縮小した事業所は、公表数字の数十倍はあります。

そのだ:特に小規模の通所事業所で事業継続が困難なところが増えてくれば、それが介護離職を増やし、ひいては介護崩壊、医療崩壊につながるのではないかと心配しています。

高野:介護現場では口腔ケアや転倒による骨折防止などに努めることで、高齢者が医療に行かずに済むようにすることを一つの目標にしています。介護の頑張りが医療の崩壊を防ぐ力にもなるのですから、不足しているマスクや防護服の配布にしても、医療と同等の支援が必要です。介護の場合、防護服はもちろん、マスク姿が認知症の人に不安を与える場合もあって、そもそも医療より備蓄は十分ではありません。

そのだ:全国老施協では3億円規模の基金をつくり、防護服などを都道府県単位で配布する準備をしています。

高野:それはいいですね。

そのだ:介護事業所・施設、都道府県、国にどのようなことが求められるとお考えですか。

高野:感染リスクなどを考えれば、事業の休止や縮小を決断しなければならない局面もあるでしょう。経営者はこの判断を誤らないことです。そして行政は、自主休業に対しても経営上の支援をすべきです。職員の方々にはこれまで学んだことも含め、感染防止対策をしっかり行って、高齢者と自分自身を守ってください。事業者団体や専門職団体、行政は介護サービスでの感染防止ノウハウをわかりやすく示すことも必要です。

そのだ:全国老施協では専門家にも参加いただき、感染症対策チームをつくることも考えています。

高野:現場は大変ですが、是非乗り越えてほしいと思います。在宅を中心にバタバタと介護事業所がつぶれ、高齢者が介護を受けられなくなり、状態を悪化させていく。こうした事態が現実のものとなると、日本社会が立ち行かないほどの大問題になりかねません。

そのだ:感染が収束しても、介護崩壊が起こっては元も子もありません。そうした事態を防ぐため、ぜひいろいろとご協力ください。

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