月刊 老施協 2020年2月号

ニュース月刊老施協

教育の仕組みを充実させて誇りを持って働ける環境づくりを

対談相手: 石本淳也/日本介護福祉士会 会長

今回は、公益社団法人日本介護福祉士会の石本淳也会長をお迎えしました。石本会長は熊本県の社会福祉法人などで介護職、相談員、介護支援専門員、居宅介護支援事業所管理者などを歴任し、介護現場に精通されています。未来の介護業界を支えるため介護福祉士には何が求められ、どうすれば現場で輝ける存在になれるのかについてお聞きしました。

 

 

そのだ:介護保険制度が創設されてから20年。その間に要介護者が増え続け、保険料は2倍、事業費は3倍になりました。一方で介護の担い手不足は深刻な状況で、制度自体の存続も危ぶまれています。

石本:20年間で制度が複雑になり、利用者さんと現場で働く人にとって、良い制度だと実感できない部分が表面化しつつあります。処遇改善にしても、配り方のルールなどは満点と言えません。次の報酬改定までに業界全体が一枚岩となり、どうすればプライドを持って元気に働き続けられるかを真剣に議論する時期に来ています。

そのだ:約170万人いる介護福祉士のうち、現場で働いているのは半数ほど。さまざまな事情で残りの半数は業界から離れています。その結果、施設の中で中間層が育たず、組織のピラミッドが形成できていません。「こうなりたい」という先輩・上司が少ないので、若手も育たないのです。

石本:今、全国老施協と一緒に介護福祉士の潜在有資格者へアプローチする取り組みを進めているところですが、ミドルマネジメント層に憧れとなるロールモデルが不在なのは大きな課題です。そうした人材を育成できるように、制度と仕組みで誘導していただき、改革に結びつけたいと切に思っています。

そのだ:ミドルマネジメント層が生まれれば、職員の定着率も自ずと改善していくはずです。日本介護福祉士会と全国老施協が協力し合い、誇りをもって働ける環境づくり、人材育成の仕組みづくりを早急に具体化していかなければなりません。制度面では私も尽力します。

石本:介護福祉士の制度ができ、30年目の節目を迎えました。時代の変遷に伴い、当初と今では職域に対する必要性は変わり、新たな視野や能力を持った人材が求められています。今後、教育はより重要になります。資格取得までのプロセス、その後の学び等に対して、そのだ先生や事業者団体から「もっと重要だ」と声を上げていただけると、私たちも学びの場に出やすくなります。全国老施協と共同で研修もできるはずで、そうした取り組みを通して介護の質が上がれば、利用者さんにとってもプラスになります。

そのだ:その通りです。介護保険制度を存続させていくためにも、ぜひともに行動して行きましょう。

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