新型コロナウィルス感染症対策 必要な対応にしっかり取り組む
対談相手: 結城康博/淑徳大学総合福祉学部 教授
高齢者福祉施設にとって、新型コロナウィルス感染症への対応が重大な課題となっています。国としても、最優先の課題ととらえて対策を講じているところです。全国老施協では対策を考えるにあたり、社会福祉のエキスパートで介護現場にも精通されている淑徳大学の結城康博教授と情報交換を行い、いろいろなアドバイスをいただいています。
そのだ:高齢者福祉施設では従来からノロウィルスやインフルエンザなどの感染症に対し、水際対策をしっかり行ってきました。今回の新型コロナウィルスは、いまだにわからない点も多くあり、対応が難しいところです
結城:介護現場での対応について、そのだ先生は素早く活動されたようですね。
そのだ:大変な人手不足の状態にある介護現場ですが、発熱があれば職員を休ませなければなりません。こうした点について厚生労働省老健局に話をし、人手が足りなくなった場合でも柔軟に対応できるよう、人員基準の緩和などの取り扱いについて、2月中旬に保険者である市町村に通知してもらいました。
結城:全国の小中高校などで一斉休校が行われましたが、介護職員のなかにはお子さんのいる方も多く、子どものために休まざるを得ないというケースもあります。
そのだ:今回、結城先生にはさまざまなご助言をいただきました。たとえば、「在宅サービスを中止にすると高齢者のみの世帯は大変困る」というご指摘を受け、デイサービスの職員に在宅に回ってもらい、給与も保証するといった扱いも可能にするようにしてもらいます。
結城:いったんデイサービスを休止させれば、職員が他の職務に移り、感染症が落ち着いても人材が流出したままになる懸念もありますので、職員の定着ということを念頭に置きつつ対策を講じられるべきでしょう。また、デイサービスなど在宅は小さな事業所が多く、消毒剤やマスクを入手しづらい状況も起こっています。この点についても手を打っていただきました。
そのだ:首相官邸に「最優先でマスクを確保してほしい。小さな事業所にも行き渡る形にしてほしい」とお願いしたところ、すぐさま菅官房長官がメッセージを出し、官邸の対策会議で緊急対応策として高齢者福祉施設などに2000万枚のマスクをお届けする事が決まりました。
結城:この数週間、介護現場でヒアリングをしましたが、新型コロナウィルス関連の国の通知が五月雨式に出されるので少しわかりにくい、という声も聞きました。わかりやすいように工夫することも必要なのではないでしょうか。
そのだ:その点も早速、対応を求めたいと思います。今後とも結城先生にアドバイスをいただきながら、いろいろな対策にしっかり取り組んで参ります。
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