月刊 老施協 2019年12月号

ニュース月刊老施協

職場の雰囲気を明るくするチームリーダーが求められる

対談相手: 加藤茂博/株式会社リクルートキャリア ビジネスプロデューサー

 

 

今回のお相手は、株式会社リクルートキャリアのビジネスプロデューサーで、全国老施協の外部理事も務めていただいている加藤茂博さんです。働く人や組織のデータを細かく分析し、組織の状態の良し悪しを数値で表して採用や組織力強化に活かす“ピープルアナリティクス”の第一人者でもある加藤さんに、介護現場の問題点や改善点などについてお聞きしました。

 

そのだ:全国老施協の外部理事になられた経緯をお聞かせいただけますか。

加藤:リクルートには介護を支援する事業部があり、全国老施協の会員施設には頻繁にお訪ねする機会がありました。広島では福祉施設の職員や組織の状態を診断するツールを県と共同研究で開発し、これを平石朗会長の施設でも長年使っていただき、退職者が半減するなどの成果がありました。こうした経緯から「外部理事として来て欲しい」と声をかけていただきました。

そのだ:人事の専門家である加藤さんは、介護の職場をどのように御覧になっていますか。

加藤:そのだ先生がご尽力され、介護職員の処遇は改善していますし、介護技術の研究が進み、各種研修も盛んに行われていることに感銘を受けています。問題は組織のコンディションを誰も見ていない職場が多いことです。採用に困っているのは承知していますが、人を迎えるには、まずは自分たちの組織が良い状態にあるのか・そうでないのか、良くないのであれば、何が良くないのかを課題として捉え、それにきちんと向き合う必要があります。こうしたことに取り組んでいる施設と、取り組んでいない施設とでは大きな差が出ます。

そのだ:確かに同じ人材難のなかでも、何の心配もないという施設もあれば、人が集まらないため経営が成り立たないという施設もあります。

加藤:人事データを細かく分析するピープルアナリティクスという手法を用いれば、組織の状態の良し悪しを数値で表せます。しかし、状況が悪くなったとき、改善できるかどうかは施設長の努力にかかっています。一般に高い介護技術を持つ人が施設長に就くことが多いようですが、そうした人がすなわち有能なリーダーというわけでもありません。介護は感情労働ですので、チームリーダーが果たす役割は重要です。SNSなどを活用し若い人ともしっかりコミュニケーションをとることができ、人を育てて良いチームをつくり、職場の雰囲気を明るく出来るリーダーが求められます。

そのだ:介護関係者は日々、ご利用者の尊厳を守るため力を尽くしていますが、あわせて職員の尊厳もしっかり守ることが必要です。そうすれば、おのずと技術的にも良い介護ができるようになるはずです。

加藤:全くその通りで、素晴らしいご指摘です。

そのだ:人事考課や処遇改善の手法のあり方も重要ですね。厚生労働委員長として加藤さんが指摘されたことを活かせるような制度をつくるため、全力を尽くします。加藤さんには今後とも知恵をお貸しいただき、夢の持てる介護の現場を共につくっていきましょう。

 

 

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