COVID19と在宅介護現場―佐々木淳先生ヒアリング

近況報告

在宅医の立場から介護現場のオピニオンリーダーとしてご指導いただいている悠翔会の佐々木淳先生に、ヒアリングを行いました。

佐々木先生から下記のご提言をいただきました。
私も先生のご提言は「もっともである」と思います。
しっかりと厚労省に働きかけていただきたいと思います。

1)高齢者が安全に介護サービスを利用し、感染症による被害を最小化するための、PCR検査体制
ー怪しきは、在宅医や嘱託医の指示で迅速にPCR検査が受けられる体制
ー介護施設に入居する要介護高齢者に対する定期的なPCRスクリーニング検査(イギリスのインペリアルカレッジの論文で有効性が示されているようです)

→前々から介護現場は優先的PCR検査の適応を!と言い続けていますが、引き続き、要望していきます。

2)何か起こったときの資金・人材投下の仕組み
―北海道のアウトブレイクしたとある施設では、入居者70名が感染しているが、なかなか病院に入院させてえもらえず、ギリギリのところで踏ん張っている、ということ。アウトブレイクが起きた瞬間、看護師は全員辞め、介護士も出勤しない人もたくさん出てしまい、大変なことになった。
―どこで、何が、起こるか分からない、というなかで、災害対策のように、何か起きたときの指揮命令系統であったり、地域の中での人材融通、地域を超えて人材融通の仕組みを作っておくべきではないか。
ーまた、資金に関しては、医療と同様に、介護も
「介護報酬+危険手当+アウトブレイクしたときの費用」のパッケージで支援をしていくべきではないか。

→厚労省は補正予算で、アウトブレイクしたときの費用については補填する、という形で予算をつけています。しかし、まだ危険手当、というのはつけられていません。介護報酬改定で行うのか、どのような手段でやるのか検討が必要ですが、危険手当もしっかりと付けていただきたいと思います。
→人材の融通については、非常に難しいところであります。災害時はDWATという福祉人材融通の仕組みも全国老施協で立ち上げておりますが、なかなか感染リスクの高いことには踏み込めない、というのが現状であると思います。このポイントについては、何か良い方策がないか、現場と相談しながら考えていきたいと思います。良いアイディアがあれば、ぜひご教示ください。

3)感染防御のための公式研修プログラムの提供体制
第一波では他国と比較すると被害は小さくて収まりました。しかし、第二波、第三波はわかりません。介護スタッフに対して、最適な知識とスキルを提供する研修プログラムと、きとんと感染防御ができているかをチェックアップするフォローアップ体制を構築する必要があります。

→国の方でも進めていただきたいですし、全国老人施設協議会としても会員施設に提供できる体制を整えていきたいと思います。

4)感染防御資材(ガウンやN95等の高機能マスク等)の提供体制
―佐々木先生は現在、融資で、感染防御資材を地域の訪問看護や介護事業所へ提供する仕組みを整えている、大変素晴らしい活動をされています。

→先生方の活動をぜひとも応援させていただきたいと思います。一方で、有志の先生にご負担をかけ続けることではなく、これは、国がしっかりと責任をもってすべきことです。厚労省も今動いているところであると聞いています。できるだけ速くに適切な体制を整えていただきたいと思います。

佐々木先生、誠に有難うございました。
引き続き、ご意見を伺わせていただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。