災害対策特別委員会で岡山県豪雨被害視察の派遣報告を行いました。

近況報告


黙祷

【災害対策特別委員会】
委員派遣報告(平成三十年九月・岡山県) そのだ修光

九月六日、岡山県において、平成三十年七月豪雨による被害状況等の実情を調査してまいりました。

参加者は、河野義博委員長、酒井庸行理事、小林正夫理事、山本博司委員、小川敏夫委員、武田良介委員、室井邦彦委員、木戸口英司委員、また、現地参加されました石井正弘議員、そして私、そのだ修光の十名であります。

現地調査の概要を御報告いたします。

六月二十八日から七月八日にかけて、前線や台風第七号の影響により、日本付近に暖かく非常に湿った空気が供給され続け、岡山県を含む一府十県に特別警報が発表されるなど、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨となりました。このため、広島県、岡山県、愛媛県を始めとする各地において、河川の氾濫、浸水害、土砂災害が頻発し、死者・行方不明者が二百三十人を超えるなど、甚大な被害が発生しました。岡山県においては、七月六日から七日にかけての大雨により、八月末時点で死者・行方不明者六十四人、住家の全半壊七千八百棟、床上浸水二千七百九十九棟、農林及び公共土木施設関係の被害額約四百九十八億円等の激甚な被害が生じたとのことであります。

現地におきましては、まず、岡山空港に到着した後、バスの車中にて、岡山県当局から被害の状況等について説明を聴取しました。

次に、総社市に赴き、河川の氾濫等に起因するアルミ工場の爆発現場及び同工場被害認定における爆発被害の考慮、被災者の生活再建に向けた特段の支援等を内容とする要望がなされました。その後、片岡市長、下原自治会の方々及び岡山県議会議員と派遣委員との間で、発災前における地域とアルミ工場の関係、天災・人災の判断と被災者支援の在り方、市の要望等に係る県及び国の取組、下原地区における住民の避難活動等について意見が交わされました。

次に、国民宿舎サンロード吉備路において、岡山県当局に見舞金を手交した後、県当局から豪雨災害に係る岡山県の対応状況について説明を聴取しました。派遣委員との間においては、災害廃棄物の処理、被災自治体の受援体制、災害ボランティアの受入状況、避難行動要支援者の個別計画策定に向けた取組と課題、避難所・仮設住宅に係る取組等について意見交換が行われました。

次いで、倉敷市の真備町地区に移動し、両岸の堤防が決壊した末政川の被災箇所を視察しました。

岡山県当局によれば、同地区では、国管理の高梁川水系小田川の二箇所に加え、小田川支川の末政川など県管理の三河川六箇所において堤防が決壊するなどし、浸水面積は約千二百ヘクタール、浸水家屋数は約四千六百棟に上ったとのことであります。末政川の応急復旧工事は八月三日に完了し、また、危機管理型水位計が新たに設置されており、本復旧については国と協議を進めているとのことでありました。周囲には二階まで浸水した家屋が建ち並び住民が暮らす気配はなく、浸水被害の甚大さを改めて実感いたしました。

次に、避難所となっている老人福祉センター「倉敷市まきび荘」に赴きました。

伊東倉敷市長から、死者が五十二名に及んだ被害の状況等について説明を聴取するとともに、小田川合流点付替え事業など治水対策事業の推進、公共土木施設等の改良復旧、そして、災害廃棄物処理や被災者の見守りと住宅再建、商工業・観光業・農業者に対する支援、財政支援の実施等を内容とする要望書を受領しました。その後、派遣委員との間では、避難行動要支援者に対する避難行動支援の取組、避難勧告等に関するガイドラインの運用・検証状況、商工業及び観光業に対する支援、現時点で必要とされる経費、住民の防災意識の向上等について意見交換が行われました。次いで、段ボールベッド等を用いたまきび荘内の避難所を視察し、避難されている方々にお見舞いを申し上げました。

最後に、浸水被害を受けた岡山県立倉敷まきび支援学校を視察しました。佐藤校長によれば、在校生と職員には大きなけが等がなかったものの、最高水位は四・八メートル、二階の床上まで浸水したとのことであり、食堂、教室、体育館等の被災の現況について視察を行いました。グラウンドに建設中のプレハブ校舎が九月十日から使用可能となるため、被災校舎の復旧までの間は、プレハブ校舎と他の支援学校に分かれて教育活動を行うとのことでありました。

以上が調査の概要であります。

今回の調査におきましては、記録的な豪雨がもたらした深刻な浸水被害を目の当たりにし、平時からの治水対策の重要性を再認識いたしました。今後は、ハード面の治水対策、また、水位情報の把握等による適時適切な避難情報の伝達や実効的な避難行動につながるソフト面の取組を加速化するとともに、被災者の実情に応じたきめ細やかな支援、そして被災者の暮らしと生業の再建に向けた中長期的な取組を着実に実施する必要性を痛感した次第であります。

終わりに、今回の調査に当たり御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、被災地の一日も早い復旧・復興をお祈りし、派遣報告といたします。