そのだ修光

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介護現場を元気にしていく処方箋~介護報酬改定プラス改定を目指して!~

7月19日(水)、高齢者住宅フェア2017 in 東京で講演いたしました。

ただいま、ご紹介に預かりました参議院議員そのだ修光です。本日は大変貴重な機会をいただきまして有難うございます。参議院議員になる前は、鹿児島県で社会福祉法人旭生会を運営しており、特別養護老人ホーム旭ヶ丘園の園長として、介護現場で働く人たちが生き生きと働ける職場づくり、利用者の人生の最終章を看取る取組みをしてきました。その後、全国老施協の推薦を受け、昨年7月に参議院議員となりました。参議院の厚生労働委員会の理事として、我が国の喫緊の課題である少子高齢化問題に取り組んでおります。
先進国のうち、少子高齢化、人口減少、経済成長の鈍化、このすべてが同時進行しているのは日本だけです。団塊の世代を中心にこれから介護・医療への短期的な需要が大きくなっていくなか、解決しなければならない問題もますます増えていきます。展望なくして消費していくだけでは支え手は少なくなる一方なので、社会保障システムを支えきれなくなる時代を迎えてしまいます。そうしたことが起こらないようにするために、今、何が必要かを考え、そして何より重要なのは介護現場など、皆さん方、現場の方々たちと共に形にしていくことだと思っています。

先月閉会した国会では、「地域包括ケアシステム関連法案」を成立させました。地域包括ケアシステムの強化を図ることを目的として、「自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進」、「介護医療院の創設」、「地域共生社会の実現に向けた取組の推進」、「一定以上の所得を有する者の給付割合の見直しを行うとともに、介護納付金への総報酬割の導入」この大きな4つのポイントが盛り込まれました。

財政が厳しいことは百も承知です。しかし、私は政府内で行われている議論が、財政規律にかたよりすぎていることに危機感を覚えています。国民、利用者を支えるには、介護現場を支えていかなければならないのに、介護現場からの視点が抜け落ちているのではないかと思います。介護現場は、前回の介護報酬大幅マイナス改定で、例えば特養の3割が赤字、介護人材不足でサービスが提供できない、そういう事態に陥っているのです。そこで、私は委員会の場で、「この制度改正は、介護保険制度の理念に本当にかなうものなのか?」、「保険者機能を高めるためには、市町村が互いに切磋琢磨し、真に介護を必要とする方に必要な介護サービスを提供できる仕組みが必要なのではないか?」、そして、何より、「この法律が絵に描いた餅に終わらないようにするためにも、介護業界における深刻な人材不足への対策を急ぐべきだ」と、申し上げました。そして、私は、附帯決議の担当をしておりますが、附帯決議というのは、将来の立法によるその法律の改善についての希望などを表明するツールであり、与野党の協議によって作られるものですが、その附帯決議で、「介護人材確保対策」「軽度介護者・要支援者対策」などの項目を入れて、成立させることができました。

さて、深刻な介護人材不足は、もっと言えば、「介護現場をどうやって元気にしていくか」という、大変重要な課題であります。「これをすればすぐ人が来る!」という“打ちでの小槌”はないですが、一つずつ対策を積み重ねて行く必要があるのではないかと私は考えています。今、私が可能性を感じている5つの処方箋について、今日はお話させていただきます。

まず、一つ目は職員の尊厳が守られ、自己実現ができる環境作りです。私が運営していた旭ヶ丘園は、かつて、離職率もそこそこ高い、職員にあまり人気のない施設でした。7年前に改革の必要性をおぼえ、法人の理念を「尊厳に立つ」としました。「尊厳に立つ」というのは、ご利用者様の尊厳を守るためにこそ、「職員の尊厳」が守られる必要がある、という意味が込められています。利用者へのケアは、職員の手を通じて行われますからね。「職員の尊厳」が守られ、自己実現と成長を可能とする組織風土への変革に励みました。結果として、ご利用者ひとりひとりの「尊厳に立つ」。最期まで安心・安全な生活が保障されることに主眼を置いた終末期ケアを可能とするため、組織のコンセンサス形成と、技術・知識の取得に努めました。この改革は、組織を元気にしました。今では、離職はほとんどなく、人材についても、スタッフがスタッフを呼んできてくれる、という好循環が続いています。ご利用者のほぼ100%を施設でお看取りしており、穏やかな終末にご家族からもとても喜ばれています。一つの組織の経験談ですが、やはり、職員の尊厳が守られ、自己実現ができる環境作りを進めていくことは非常に大事なことだと考えています。

二つ目は、介護の現場で看取りを進めていくことだと思います。先日、世田谷にある特別養護老人ホーム芦花ホームの医師、石飛幸三先生のところへお話を伺いに行きました。石飛先生は多くのご利用者様をお看取りされている看取りの第一人者です。石飛先生が、「看護師・介護職・栄養士・歯科衛生士などが連携し、私もチームの一メンバーとして看取りをしています。介護士は、看取る経験で、利用者の人生の最終点に触れ、成長していく。こんなに素晴らしい、尊いことはない。」と仰っていました。私もそう思います。介護士の仕事が尊いものであり、誇りを持て、社会的地位を上げていくためにも、介護現場での看取りを進めて行くべきだと思います。

三つ目は、そのためにも、現在の処遇改善加算のあり方を、介護職限定からチームケアに関わる職種に広げ、各法人に裁量をもって配分できる仕組みにすべきだ、ということです。石飛先生の話にもあったように、介護現場はチームケアで成り立っています。介護職員、生活相談員、看護職員、機能訓練指導員、栄養士等、みんな関わっています。それを、介護職にだけ、というのは介護現場としては非常にやりにくいです。また、よく働く人も、あまり働かない人も、一律に、というのは不公平感が出ます。各法人の人事評価に基づいて配分できるようにすべきではないでしょうか。「頑張った人が報われる」という構造を作っていくべきだと思います。

四つ目は、テクノロジーを使った介護現場の改善です。昨年度、全国老施協が、介護ロボットを用いた調査事業を行いました。天井にセンサーをつけ、介護提供体制にどのような影響を与えるかを調査したのですが、そこで、センサーによる「現場の見える化」により、業務の改善や無事故達成が見られただけではなく、人材育成の道具として「現場の見える化」が活用できることがわかりました。「熟練者に到達するためには丁稚奉公をすべき」、というのが日本の昔からの考え方であるように思いますが、介護業界には様々な世代の、様々なバックグラウンドを持った人材が必要です。入ってきてくれる人達に、敷居(しきい)低く介護の現場に慣れ、熟達してもらうためにも、ロボットが記録した情報や入力されたデータを有効に活用して、非熟練者の訓練を行うことなどが必要です。人工知能を活用した健康状態の予測、介護ロボットを使った要介護者・介護職員の負担軽減、教育効果など、テクノロジーの応用をどんどん進めて行くべきだと思います。同時に、介護保険サービスのエビデンスづくりも大切になってくるでしょう。介護現場が元気になるデータの運用が非常に重要だと思います。一部、身体機能改善に偏った自立支援介護について大きく取り上げられた時期もありましたが、データによって、介護現場で広く取り入れられている利用者一人ひとりの人生に寄り添う伴走型介護を「見える化」し、介護現場の実践が評価されるようになることにより、職員のやり甲斐や専門性も確立させられる方向に進むと思っています。

五つ目です。今年11月から、新たな外国人技能実習制度がはじまり、介護業界にも外国人技能実習生が入ってきます。質の高い外国人技能実習生に入ってきてもらえるよう仕組み作りを進める必要があります。日本は高齢化の先進国ですが、送り出し国となってくれるベトナム等の国々も、これから高齢化が一気に進む国々です。日本での経験が、送り出し国の高齢化問題解決に寄与する仕組みでもあると思うので、両者の満足が得られるような制度にしていかなければならないと思っています。介護現場に外国人が入ってくると摩擦も起きると思いますが、大切なのは、それをチャンスとして捉え、組織の活性剤として活用できるか、という視点だと思います。制度に血を通わせるのは現場の活用です。現場の組織と連携しながら、あるべき仕組み作りを応援していきたいと思っています。

来年はいよいよ診療報酬・介護報酬の同時改定です。今、政府では同時改定に向け、議論が始まりました。平成27年度の大幅マイナス改定で、介護現場は大打撃を受けました。今回はプラス改定にしなければなりません。報酬を上げていくには、我々介護現場も一丸となって提供するサービスを向上させていきます。そのような姿勢でもって、皆さんと共に、介護現場を元気にしていきたいと思います。

ご静聴有難うございました。