介護報酬改定に向けた加藤厚労大臣への最後のお願い

近況報告

12月7日(木) 厚生労働委員会で加藤勝信厚生労働大臣に向けて、最後のお願い。

今改定は、介護ひとつをとっても、今後3年間を決める改定ではありません。2025年、2030年の介護保険制度のあり方を決めてしまいかねない大事な改定です。

大臣は、この委員会冒頭の所信表明演説で、「団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築を一層推進していくことが必要です。」また、「家族の介護のために離職せざるを得ない状況を防ぎ、働き続けられる社会の実現を目指します。このため、介護の受皿50万人分の整備を進めるとともに、他の産業との賃金格差をなくしていくため更なる処遇改善を進めるなど介護人材の確保に取り組み、2020年代初頭までに介護離職ゼロを目指します。」と仰っています。

この政策目標を達成するには、現場の力が必要なのです。しかし、現場の肌感覚としては、景気向上等に伴い、人材がとにかくいなくなっています。2015年6月に厚生労働省から出された2025年時点の介護人材の需給ギャップ推計値は38万人と打ち出されましたが、この目標が達成できる感覚がありません。また、前回のマイナス2.27の報酬改定の影響と、介護職だけに配分される処遇改善加算の影響で、経営の体力がなくなってきています。

厚生労働省が出した介護事業経営実態調査の数字が、介護事業の経営体力がなくなっていることを如実に表しています。平成26年度から報酬改訂後の平成29年度にかけて、介護サービス全体の収支差率は7.8%から3.3%に縮小しました。特別養護老人ホームにおいては、8.7%から1.6%とマイナス7.1%の縮小。高齢者介護のセーフティネットである特別養護老人ホームの全体の33.8%が赤字経営となっています。

今回の基本報酬をプラス改定しなければ、多くの介護事業者が経営破綻し、担う人材もいなくなる「介護崩壊」が起きるのではないでしょうか。そうなれば、困るのは介護サービスを必要としている高齢者や家族―「国民」、介護サービスに支えられている「経済」に他なりません。

是非とも、ご理解いただき、安倍政権並びに大臣の『介護離職ゼロ』という政策目標を達成するためにも、“介護報酬基本報酬プラス改定”をお願いして、私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。